中古レコード屋の店主 里葉風流の「レア盤発掘に王道なし」 #002 WITH OBI!! (2)

 日本盤コレクターは世界各国に点在しています。都内の人気中古ショップなどは、欧米のみならず、遠く豪州や中南米から近くは韓国や台湾などのアジア圏に至るまで、日本盤を求める来店客が後を絶たないと聞きました。ほとんどは海外アーティストの日本盤を対象としていますが、最近では日本のGSや先ほどのポールのようにビート・ガール物を集めるコレクターまで現れています。

stage
Aさんのトップ・ウォント

 カナダのディーラーから童謡のピクチャーSPを頼まれたこともあります。私は知りませんが、国内でも珍しいド演歌コレクターなんてのもいるかも知れません(いないか?)。忘れた頃にたまにお店に顔を出すドイツ人のAというストーンズ・コレクターがいます。日本には座禅を組みに来たりしているようですが、素性はよく分かりません。これがポール型変換ソフトと呼べるくらいご愛嬌なのです。

 高額なレコードには驚いておどけた表情は見せるものの、値段にクレームを付けることはまずありません。購入したレコードを心から慈しむようにバッグに詰めお店を後にするのですが、姿が消えかける直前に振り返り、ウインクで感謝の意を表するのです。これが実に愛くるしい。さすがに日本男児としてウインク返しのような恥ずべき行為は出来ないのですが、彼が去った後はいつも穏やかな空気が店内に充満しています。

 ところがどっこい、現実はそう甘くない。Aのような純然たるコレクターは非常に稀で、特に地方の中古屋を訪れるような外人客のほとんどは日本盤ディーラーです。彼らは現金より効率がいいのかトレードが大好きですが、提示する条件も結構シビアーです。通常は海外盤をメインとするお店にレアな欧米盤を提供し、それと引換えに日本盤を大量に持ち帰るというパターンが多いのですが、日本の希少盤を扱う私のようなお店に対しても、思わず唸ってしまうようなエグい日本盤を持って来たりします。

里葉風流(さとばふうる)