中古レコード屋の店主 里葉風流の「レア盤発掘に王道なし」 #003 WITH OBI!! (3)

リンガース

 最近のようにしっかりした国内盤ディスコグラフィー本が出るずっと前から、彼らのウォント・リストには我々日本のディーラーですらほとんど見たことのないようなアイテムがレコード番号といっしょにぎっしりと書かれてあり、国内コレクターより数年先を進んでいる感触がありました。

 私がまだディーラー駆け出しの頃、レーベルの表面を薬品か何かで剥がしたと思われるうさん臭いテスト盤などを持ち込んだ怪しいディーラーもいて危うく騙されそうになりましたが、偽物の半かけ帯は海外から流れて来たとの噂が示すように、何かトラブルがあるにつけ“所詮ガイジンだから”という言葉もよく耳にします。しかしながら、海外のコレクターからシングル盤のジャケットやLPの帯の存在が認知され日本盤が注目を浴びたことにより、結果的に国内のコレクターも日本盤の独自性に開眼したのは事実です。これは以前から感じていることですが、海外のコレクターはレコードに対する価値基準がはっきりしていて、その需要を敏感に反映した海外ディーラーのチョイスも非常にスムーズであると思うのです。海外の影響で日本盤が高騰するということはあっても、国内コレクターの動向が海外における日本盤の相場を動かすということは少ない気がします。

 かつて東京のレコード・フェアーで海外のディーラーが競うようにして日本盤に群がり、自信を持ってピック・アップした山積みのシングル盤を次々にカウンターで精算している姿は未だに脳裏に焼きついています。GSのレコード人気がバブル崩壊以降もクラブ・シーンの盛り上がりによってキープ出来たように、洋楽の日本盤が彼ら海外ディーラーの需要に支えられながらその価値を高めてきたという側面は無視出来ません。

里葉風流(さとばふうる)