中古レコード屋の店主 里葉風流の「レア盤発掘に王道なし」 #004 WITH OBI!! (4)

 数ある外国人ディーラーの中でも、Zは超ヘヴィー級のディ-ラー(コレクター?)です。

 何がヘヴィーかって、レコードに対するパッションが桁違いです。レコード・コレクター並びにディーラーの特性でもあるのですが、未だかつて見たことのない(扱ったことのない)アイテムには異常に燃えてしまうのです。ネット・オークションでも、初出しのレコードが、我々ディーラーの常識では考えられえないような金額までヒート・アップしているのをたまに見かけます。

 数年前、Zが未だかつて目にしたことのないレコードが当店に入荷したのを聞きつけ、国際電話がかかって来ました。その内容についてはあまり多くを語りたくないので、シンプルに結論だけを言います。その後Zからは、1週間近くに渡りトータル10時間以上にも及ぶ七転八倒の国際電話がかかり続けたのです(それを相手したあんたも凄いって?同感です)。運悪く先方の提示したドレード・アイテムの1枚に、何と私がかつて見たことのない(お前もか)ヴァン・ダイク・パークスの超幻の帯付があったのが、二人のインターナショナル・バトルを泥沼化させるそもそものきっかけでした。最終的にかなり大掛かりなトレードに発展し、その1枚欲しさにこちらもそれ相当のアイテムを海外に発送することになりました。

 数日して先方から大きなパックが届きました。期待に胸をワクワクさせながらダンボールを開封し、中に入っていた戦利品を取り出してビックリ!!何と送られて来た帯付LPの半分くらいが、帯裏に破れ・しみ・折れのダメージがあるのです。ZからのFAXを見直してみると、ジャケットと盤のコンディションはほとんどM/Mと具体的に書いてありながら、帯については帯付の表示だけがされていました。確かにジャケットと盤はMINTでしたが、“WITH OBI!!”と書いてあれば当然それに準じたMランクだろうと判断したのが・・・甘かったのですね、ハイ。でもその後海外の日本盤を扱うお店のサイトをよくよく調べたら、Zのサイトを含むほとんどのお店が帯については with OBI か no OBI とだけしか表記しておらず、“リストには帯のコンディションは表記しない”という海外の慣習に遅まきながら気付いたのでした。

 しかしながらそのレコード、難ありの帯であったにも拘わらず、結果的にトレード評価を大きく上回る価格で売れてしまいました。恐るべし、ヴァン・ダイク・パークス。

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里葉風流(さとばふうる)

――里葉風流について――
 ペン・ネーム“さとばふうる”については、結局「プレミア・レコード図鑑」でもそのいわれを公表しませんでした。その後もたまにその疑問を投げかける方がいらっしゃるので、このあたりでひとついわれを紐解きましょう。

 何てことはないのですが、“古里の枯葉が風に流れる”というカントリー・ボーイの私には正にピッタリのイメージで名付けました。音読みしてみて下さい。そう、リバプール。「フール・オン・ザ・ヒル」にも引っ掛けた、要はビートルズ・バカということです。な~んだ、というがっかりした声も聞こえましたので、止めを刺します。これにはさらにディープ・ミーニングが隠されており、私の大好きなヤング・ラスカルズの『夢見る若者』というLPに「サトゥヴァ」という曲があるのです。どうだ!