中古レコード屋の店主 里葉風流の「レア盤発掘に王道なし」 #011 番外編:「赤と黒のビートルズ」~ヒマ人里葉のオデオン黒盤奮闘記3

①
黒盤が存在する『NO.2!』<OR-8027>

 ビートルズ・コレクターは基本的に赤を優先しており、8黒についてはあまりに情報が少ないのです。思い切ってビートルズ・コレクターでもあるTさんに、初めて電話してみました。

「オデオン8000番台の黒盤何かお持ちでないですか?」「ほとんど赤で集めてますので…。そういえば確か『ビートルズ!』が黒でしたね。刻印ですか。え~と、EG8ですね。」「ESじゃないですか?」「いえ、間違いなくEGです。」「ESやアップル盤のFSというのは多いんですけどねえ。新種ですかね。それじゃあ、レーベルの溝直径を測ってもらえませんか」「30㎜です。」「ええ?!分かりました。ありがとうございました!」

 胸の高鳴りを抑えつつ、それまで情報を放置していた『No.2!』の報告主Iさんに電話しました。
「PMはEG8に間違いないですね?」「間違いないです。」「やっぱりそうでしたか。じゃあ、溝直径を教えて下さい。」「30㎜です。」「ですよね!Iさん、それグラモフォン・プレスですよ。GはグラモフォンのGですよ、きっと!」

 閃いた瞬間は我ながら興奮しました。とっさに連鎖の閃きが。とすると、ESのSは…。ソニー?ビートルズのソニー・プレス。まさか~。しかしながらCBSソニーの創業が68年だけに、ES・FS(69・70年プレス)がほとんどなのが気になりました。Yさんの「東芝LPのレーベル形状タイプ」のレポートを見ると、ES・FSは「68㎜でCBS-SONY、コロムビアの同時代盤と類似している」とありました。居ても立ってもおれず、Yさんに電話してEG~ES経緯を報告しました。

「Sはソニー・プレスのような気がしてならないんです。ソニー盤を測ったら68㎜じゃなくて69㎜に近いんですけど。」「なるほど、お話聞いていると確かにそんな気がしますね。私の方でももう一度レーベル測ってみます。」

 その夜さっそくYさんからメールが届きました。
「私も、ソニー盤を何枚か改めて測り直してみましたが、68.5㎜と見ました(笑)。四捨五入すれば69㎜ですので、それで統一することに賛成です。で、ソニー盤を69㎜とすると、ES5とかFS5とかのタイプは、みな同じ形状(69㎜)だと思います。ちなみに、コロムビア盤ももう一度数枚見直したところ、こちらはぴったり68㎜でした。ですので、先程電話で『ソニーもコロムビアも同じ』と言いましたが、すみません、それは間違いです。(ルックスはそっくりですが)この1㎜の差は重要だと思いますので、コロムビア・プレスの可能性は、かなり薄まったことになります。形状だけで判断して良いのならば、『ソニープレスと断定』と言いたいところですね。」

里葉風流(さとばふうる)