中古レコード屋の店主 里葉風流の「レア盤発掘に王道なし」 #012 番外編:「赤と黒のビートルズ」~ヒマ人里葉のオデオン黒盤奮闘記4

ringo bob

何故か今回のソニー・プレスには確信に近いものがありました。
『ステレオ!これがビートルズVOL1.』の67㎜黒盤とゼムのキング盤のレーベルを並べた時の「!!」の感動。PMもそうなのですが、“百聞は一見にしかず”で、やはり現物で確認するのが一番説得力あります。アメリカ編集盤『ミート・ザ・ビートルズ』のFS盤とボブ・ディランの『ブロンド・オン・ブロンド』。「!!」疑いようがありません。そうすると、他でFS黒盤の確認される『レット・イット・ビー』のボックスやアメリカ編集盤のほとんどのLP、ジョンの『未完成』、ポールの『マッカートニー』、ジョージの『電子音楽』とリンゴの『スタンダード・コレクション』など、すべてソニー・プレスということになります。これは凄いことです。それも東芝黒盤より先にプレスされた初回プレス。ちょっぴり恐ろしくなって、ウラをとるべく創業時から長年ソニーに在籍されていたSさんにそのあたりの確認をお願いしました。Sさんはさっそく同僚に問合わせしていただいたようで、しばらくして回答のメールが届きました。

「里葉さま、ソニーの静岡工場のMさんから連絡がありました。ソニーでMさんのボスだった人がビートルズ・フリークで、昔アップル・レーベルのプレスをした事が有る…という情報を得ました。」感動的でした。黒盤に光を当てることによって辿り着いたソニー・プレスの実態。その後の調査でも、ビートルズのみならず、東芝LPの多くにソニー・プレスが確認されました。69年上旬に始まったソニー・プレスが、東芝の自社LP黒盤化への拍車をかけたのは間違いないでしょう。

ap-s sonp
「スタンダード・コレクション」ソニープレス 
ap-t fs5
「スタンダード・コレクション」東芝プレスソニープレスPM

今回の8黒騒動で、オデオン8000番台の黒盤もほとんどが他社プレスであったことが判明しました。その後の調査で、それまで一番古い東芝プレスの黒盤と思われていた68年10月発売のビーチ・ボーイズの『フレンズ』の黒盤も、PMが「0L」で70年末のプレスであったことが分かりました(要するに人間といっしょで、“レコードは見かけによらない”ということです)。その結果、他社プレスを除外することによって、スリー・ドッグ・ナイトの『トライ・ア・リトル・テンダーデス』の黒盤(9F、69年6月プレス)あたりが、現状で確認される東芝プレス(35㎜)の最古の黒盤であるのが見えてきました。

それまでは7000番台の終了時期から判断し、漠然と「66年以前のLPはすべて赤」と考えていました。事例があまり浮かばないので若干疑問視もしているのですが、「トリヴィア大百科」という本に「65年8月より黒のエバークリーンも生産開始した」と書いてあったり(シングル盤又は邦楽のみに限定した話?)、これから新たなPMが続々と発見されることは充分考えられ極論は控えますが、「60年~68年までに発売された東芝30cmLPはすべて赤盤」と考えてほぼ間違いないと思います。

里葉風流(さとばふうる)