「レコードプレーヤーの話が必要だよね」季刊・アナログ編集部/浅田 #003  知っておいて損はない! カートリッジの基本的な話

 皆さんは「レコード」と聞くと何を思い浮かべるか? おそらく、大半の人がレコード盤そのもの、もしくはレコード盤をプレーヤーで再生しているところを思い浮かべるだろう。この再生の時にレコード盤から音を拾う役目を果たすのがカートリッジである。

 カートリッジは音の入口のため、その質は音質に大きく影響する。また、このカートリッジにはMM型、MC型と大きく2タイプが存在しているのであるが、周りの知人で「レコードが好き」とレコードを買い漁っている比較的若い知人の中でも以外と「?」という人が多い。なかでも、最も質問されるのが「MMとMCではなにが違うの?」ということ。今回は簡単にこの両者の違いと解説したい。

 そもそも、レコードのメカニズムとして、再生時はこのカートリッジに装着された針が盤面の凹凸によって振動し、内部で微弱な信号を発電するところから始まる。この発電方式の違いがMM型、MC型の違いとなる。

 まずはMM型。これは「Moving Magnet(ムービング・マグネット)」の略で、カートリッジの先端の針が拾った信号をカンチレバーと呼ばれるパーツの先に付けられたマグネットが振動することで発電するというもの。一方のMC型は「Moving Coil(ムービングコイル)の略で、こちらは針でピックアップした振動をカンチレバーの先に取り付けたコイルが動くことで発電するというものだ。この両者はいずれも「発電」という目的は同じなのだが、当然それぞれの特徴がある。

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 MM型は、発電の際に必須となるコイルを本体側に巻いている。それゆえ余裕を持って巻くことができるため、結果として3mV以上と出力電圧を高くできるのが特徴だ。このMM型は、比較的安価なフォノイコライザーでも直接接続することができるほか、シンプルな構造のため設計時のコストも抑えることも可能なこともあり、いわゆる入門機にはこのMM型が多い。ちなみに、大手メーカーとなるオーディオ・テクニカのVM型やナガオカのMI型なども、このMM型に準じた出力電圧を持つ。極めてシンプルな構造なので、針を交換する際にもユーザーが簡単に交換できるのも魅力のひとつだ。

 それに対するMC型。こちらは中~高級機に多く採用されている方式。その構造は、非常に狭いところにコイルを巻く必要があるため、必然として精密さが求められるほか、コイルの巻線数は少なくなるたため出力は小さい。再生する際には、昇圧トランス(またはMCヘッドアンプ)と呼ばれるフォノイコライザーで受けられるレベルまで出力を上げるための機器や、MC入力対応をうたうフォノイコライザーが必要となる。また、前述のとおりカンチレバーにコイルを直接巻いている構造のため、針交換はメーカーに受注する必要がある。そのため、導入までの敷居が高い方式でもある。

 こうして書くと「じゃあ、MM型でいいんじゃない?」と言われそうだが、MC型が存在する理由はひとえに音質的な優位性。再生できる周波数レンジが広いのだ。
 総じて音の傾向としては、MMは骨格のはっきりしたパワフルな音、MC型は細かな音もしっかり表現する繊細な音、と言われることが多い。しかし、この音の傾向は最終的にリスナーの好みが大きく反映されるため、結果として自分が好きな音傾向をつかむことになるわけだが、そう簡単に試聴ができないのもカートリッジゆえの難しいところだ。

 そんな時におすすめしたいのが、比較的手頃な価格で変えるカートリッジ。MM型であれば、オルトフォンの「2M Red」(¥13,000/税別)やオーディオテクニカのAT100E(¥9,400/税別)、MC型であればDENONの「DL-103」(¥35,000/税別)、オルトフォンの「MC Q5」(¥30,000/税別)、オーディオテクニカの「AT-F2」(¥30,000/税別)あたりが有力な選択肢になるだろう。

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 ちなみに、これらのカートリッジをレコードプレーヤーに取り付ける際は、ヘッドシェルというものが必要だ。次回はこのヘッドシェルや、それに付随するちょっとしたアクセサリー達を解説したい。

季刊・アナログ編集部 浅田