「レコードプレーヤーの話が必要だよね」季刊・アナログ編集部/浅田 #011

   実はオーディオ的に評価される、テクニクスの銘器SL-1200シリーズ

 昨年秋頃に、新聞やテレビで「テクニクス復活」という文字を見た方も多いはずだ。おそらくDJを経験したことがある方であれば、このニュースにかなり心踊ったかもしれない。テクニクスはかつて、ダイレクト・ドライブ方式を採用したターンテーブル「SL-1200シリーズ」で世界を席巻したからだ。テクニクスの人気はターンテーブルにとどまらず、Tシャツなどのグッズとなったりするほどのものだった。

 このテクニクスがパナソニック(当時は松下電器産業)のオーディオブランドということは、実は知られていそうで知られていない事実かもしれない。パナソニックはやがて、複数あるブランド名を、日本では全て統一するという戦略に出る。つまり、テクニクスブランドの展開を終了すると発表したのだ。
 その最後となったモデルこそが、SL-1200シリーズの最後期モデルとなる「SL-1200MK6」。本機が2010年に生産を完了したことで、ここ日本から「テクニクス」というブランド名は消えることになる。

01_SL-1200MK62007年当時、ブランド休止を発表したテクニクスが最後にリリース
したのがレコードプレーヤー「SL-1200MK6」だった(生産終了)

 そのテクニクスが、今年復活した。発売第一弾のReference SystemやPremium Systemを見たことがある方は、ターンテーブルのイメージからは大きく違う展開であることにとまどったかもしれない。しかし、その技術内容は世界の音楽再生事情をみても極めて最先端。つまり、テクニクスは過去も現在も、オーディオにとって極めて高い技術を持つブランドであることを示している。
世界のDJ達に愛されたSL-1200シリーズは、そんなテクニクスだからこそ作り上げることができたレコードプレーヤーだったのだ。

 SL-1200シリーズは、どうしても「DJ用のプレーヤー」というイメージが先行してしまうかもしれないが、実はオーディオ的に見てもこれ以上にないほど高いアドバンテージを持ったモデルであるのはご存知だろうか?

 例えば、ボディ。アルミダイキャストによるボディは非常に剛性が高く、振動が音に大きな影響を及ぼすアナログ再生にあって非常に効果的なアプローチを実現している。
 次にアーム。実際に複数のアナログプレーヤーに触れてみると、安価なプレーヤーになればなるほどアームにガタツキがでてくるものだが、SL-1200は非常にがっちりとした精度の高いアームとなっている。その違いは触るだけで分かるほどのものだ。
 そして、モーターの立ち上がり。スタートボタンを押すと一瞬で低速で回転することに加え、モーターの唸りも少ないなどその完成度は高い。

 また、物理的な強度が取りにくいアナログプレーヤーにあって、圧倒的な壊れにくさを持った耐久性を持っていることも特徴だ。アナログ再生は目でみたり手で触れたりする部分の質感である程度のクオリティが分かるが、そのいずれもがSL-1200では高水準。
 実際に1989年に登場したSL-1200MK3を、いまだに中古として店頭で見かけることも、その丈夫さを物語るポイントといえるだろう。
 なお、もし仮にこのSL-1200と全く同じ構造、全く同じクオリティ、つまり全く同じものを発売しようとすれば、おそらく価格は当時の数倍となる可能性が高い。

02_SL-1200MK4
いくつものバージョンが用意されているSL-1200のなかでも、とりわけ
ユニークなのがSL-1200MK4。着脱式のケーブルや、78回転の対応など、
極めてオーディオ的な性格の強いプレーヤーとなっている

 ちなみに、SL-1200シリーズにはさまざまなバージョンが登場している。
 なかでもユニークなのがSL-1200MK4で、こちらはケーブルをRCA端子で簡単に交換できることを可能とした他、SPなども再生できる78回転を用意している点などが特徴だ。

 残念ながら、このSL-1200シリーズは生産を完了してしまっているが、もし何かの折に手に入れる機会が訪れたのであれば、入手しておくべきプレーヤーといえるだろう。

季刊・アナログ編集部 浅田