「レコードプレーヤーの話が必要だよね」季刊・アナログ編集部/浅田 #013

   ターンテーブルマット? スリップマット? 似ていて違う、両者の役割

 巷でレコード再生が大きな注目を集めているのはご存知の通り。また、この流れに呼応するかのように、さまざまなメーカーからレコードプレーヤーも登場している。
 そしてもうひとつ、レコード関連で少しずつではあるものの種類が増えているのが「ターンテーブルマット」のジャンルだ。

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こちらが、ディスクユニオンから発売されたコルク製のターンテーブルマット(¥1,944/税込)。最近、徐々に数を増やしている製品ジャンルだ

 このターンテーブルマットとは、レコード盤が回転する「プラッター」に載せるマットである。
ただがマットと侮るなかれ、実はこのターンテーブルマットは、レコード再生にとって必須とも言えるアイテムなのである。一見すると、レコード盤を傷から守るためのアイテムのようにみえるが、ターンテーブルマットの役割はそれだけにとどまらない。
 レコード盤の上を針がトレースして音を再生するというのがレコード再生のメカニズム。つまりターンテーブルマットには、振動のコントロールや回転の安定性など、実は多くの役割を担っているのである。

 このターンテーブルマットには、よく似たアイテムで「スリップマット」というアイテムもある。使い方も全く同じアイテムになるが、実はこちらは名称からも想像できるようにDJプレイなどで使用されるもの。そのため、音質的優位性よりもスクラッチなどで適度に滑る操作性などが重視されている。素材も一般的にはウレタン樹脂などを採用しているケースが多い。素材的なバリエーションは少ないものの、さまざまなデザインが用意されることもスリップマットの特徴といえるだろう。

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こちらがスリップマット。DJプレイを前提としているだけあって、デザインはさまざまなものが用意される(写真はSTRATA RECORDSのスリップマット ¥2,916/税込・ペア)

 一方のターンテーブルマットである。こちらは前述の通りあくまで「音」を重視したものだ。安定した回転を保つために滑りにくくしていることや、静電気を減衰させる特性の素材が採用されていること、そして音に悪影響をおよぼす外部振動の抑制の徹底などが代表的な開発アプローチとなる。
 素材としてはゴム系のものからステンレスなどの金属を採用した重量級のもの、またはコルクやレザー、フェルト、さらにはカーボンファイバーや電磁波吸収シートを採用したものなど、その種類は実に多い。価格も数千円から手に入るものから、なかには何万円もするようなものまで、実に多種多様だ。

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ターンテーブルマットには多種多様な素材を使用したものが存在。写真はステンレスを採用したGTサウンドの「GTT-007」(¥47,250/税込)。その重さはなんと3.3kgとなる

 ターンテーブルマットにここまでのバリエーションが存在する理由は、ひとえに音への影響の大きさにほかならない。素材や作り方を変えると、それだけいろいろな方向へ音が変化するということだ。

 レコードプレーヤーの音をクオリティアップしたい時に、なんら難しい知識なしに音質改善が行えるのもターンテーブルマットの大きな魅力。
 聴く専門のリスナーだけではなく、アクティブにレコードを使用するDJであっても、プレイに支障のない範囲でターンテーブルマットを試してみても面白いだろう。きっと、予想以上の音質変化に驚くはずだ。

季刊・アナログ編集部 浅田