「レコードプレーヤーの話が必要だよね」季刊・アナログ編集部/浅田 #014

   世界的にもトップクラスのドイツ人のレコード愛

 いま日本ではアナログレコードがブームだ。
 アナログプレーヤーも入門機からハイエンド機まで、この一年でかなり製品数が多くなっている。肝心のレコード盤もメジャーアーティストの最新作や名盤のリイシューなどが多くリリースされ、この勢いはとどまるところを知らない。

 世界に目を向けてみても、アナログレコードの人気は大きい。なかでも、ドイツのレコード人気は世界的にみても非常に大きな規模となっている。ドイツのCDショップへ行くと、どんな規模のCDショップにいっても必ずレコードの売り場がある程度の面積で用意されている。それだけ、人々の日常のなかにはアナログレコードが根付いている。
 このドイツ人のアナログレコードに関するこだわりには、実はちょっとした特徴があるようだ。

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ドイツのレコードショップはショッピング街だけではなく、こうした住宅街の一角にある店舗も多い

 日本やイギリス、アメリカなどの場合、レコード市場を下支えしている層のひとつにレコードコレクターの存在がある。レア盤には驚くほどの高値が付けられ、取引されている。
 一方で、ドイツのレコード店の在庫は、いわゆるリイシューや新品ものが多くを占めている。もちろん中古盤も多数あるが、高値が付けられたレコードはほとんど目にすることがない。
 また、盤のコンディションも非常にチェックが厳しく、中古盤も多くがクリーニングマシンで洗浄された上で発売され、試聴や検盤も店員に一声かければ基本的に無制限で行うことができる。
 このことは、ドイツでは珍しさや価格よりも、質を第一に考える傾向が強いということを現している。

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とあるドイツのレコード店の試聴ブースの様子。ここで盤質や内容を心ゆくまで確認することができる。ちなみに試聴機材には地元ドイツのものと日本のものが使用されていることが多い

 ちなみに、ドイツには現在も稼働するレコードプレス工場があるが、品質面でのクオリティは世界トップクラス。事実、数々のリイシュー・レーベルがドイツの工場にてプレスをしており、そうして出来上がった作品は「Made In Germany」とステッカーがはられ高めの値付けで販売される。ドイツプレスのレコードは、音質面・品質面でのブランド的価値が極めて高いのだ。

 こうしたクオリティにこだわるドイツの動向を表すかのように、レコードプレーヤーでもドイツのブランドは多い。先日開催されたヨーロッパ最大級のオーディオ見本市「Munich HIGH END」の会場内では、ドイツの市場を見据えたレコードプレーヤーたちが世界中から集結し、注目を集めた。
 また、レコードクリーニングマシンの展示も頻繁に目にすることができたが、その多数はドイツ製。このことも、ドイツ人の品質に対する意識の高さが見て取れる。

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先日開催されたヨーロッパ最大級のオーディオ見本市「Munich HIGH END2015」では、こうしたレコードクリーニングマシンも多数登場している。その多くがドイツのブランドだ

 なぜ、ドイツ人はここまでアナログレコードが好きなのか? ここからは推測となるが、ドイツは世界有数の工業大国であることが関係しているように思う。極めてメカニカルな仕組みで、かつ部品一つ一つが音へ大きな影響を与えるレコード再生は、ドイツの国民性に実にマッチしているのだろう。

 ちなみに、レコード再生の必須アイテムとなるカートリッジ類は、日本ブランドの人気が極めて高いことは注目だ。よく、日本とドイツは非常に似通った国民性を持つといわれることがあるが、もしかすると、日本でも同じようにアナログレコードが再び人々の日常となる日は近いのかもしれない。

季刊・アナログ編集部 浅田