「レコードプレーヤーの話が必要だよね」季刊・アナログ編集部/浅田 #015

   「モノラルカートリッジ」ってなんだ?

 レコードはこれまでの音楽メディアの中でも最も長く制作され続けているフォーマットだが、現在のようにポリ塩化ビニールを用いたレコードが主流となったのは1940年代後半以降。つまりレコードは70年にもわたって同じ形、素材でリリースされ続けているわけだが、収録される「フォーマット」については何回かの変更が行われてきた。そのなかでも、とりわけ重要な変更となったのがステレオ盤の誕生である。

 ステレオ盤が初めて市販されたのは1958年のことだが、完全にステレオへと以降するにあたっては、そこから数年を要している。いまも伝説として語られる名作が多い1958年以前のレコードは必然的にモノラル盤となることに加え、ステレオ時代に並行してリリースされたモノラル盤や、昨今のミュージシャン達がリリースしたモノラル盤作品も多い。つまり、想像する以上に「モノラル」を前提としたレコードは多いのだ。

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ザ・クロマニヨンズが2013年にリリースしたアナログ盤「イエティ vs クロマニヨン」はモノラル盤でのリリース。一部のミュージシャンでは、モノラルにこだわって作品をリリースするケースもある

 実は、レコードを再生するために必須アイテムとなるカートリッジにおいても、「ステレオカートリッジ」と「モノラルカートリッジ」が存在する。本誌としては、せっかくモノラル盤を聴くのであれば、モノラルカートリッジを活用して欲しいと考えている。もちろん、モノラル盤をステレオカートリッジで鳴らしても問題なく音は出る上、実用上は問題はない。

 それではなぜ、モノラルカートリッジが未だに市場に流通しているのか。レコード再生は、盤面に刻まれた信号をカートリッジの針先がピックアップすることで音が出る仕組みだが、この「刻まれた信号」が、ステレオとモノラルでは根本的に異なるのである。

 ステレオ盤の場合は、盤面に水平方向と垂直方向の信号が刻まれている。必然的にステレオカートリッジはこの双方の信号を拾う構造となる。
 一方のモノラル盤の盤面に刻まれた信号は、水平方向のみ。モノラルカートリッジはこの水平方向の信号のみを拾う構造となっているため、より純粋なモノラル再生が可能となるわけだ。

 ちなみに、このモノラルカートリッジを開発するメーカーは決して多くないものの、バリエーションは豊富だ。

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モノラルカートリッジの代表的存在である、デノン「DL-102」(¥27,000/税別)。高出力MC型のため、MM端子に接続して使用することができる

 最も代表的なのはデノンの「DL-102」(¥27,000/税別)、やオルトフォンのMM型モノラルカートリッジ「2M MONO」(¥40,000/税別)。また、MCステレオカートリッジの基本特許を持っていたGRADOの「ME+ MONO」(¥20,100/税別 ※MM入力で使用可能)などは、モノラルカートリッジのエントリーモデルとして知られている。

 ステレオカートリッジでも問題なくモノラル盤がかかる現状において、モノラルカートリッジは極めてマニアックな製品だ。しかし、実際にモノラルカートリッジを活用すると音質的に好ましい結果が得られたという例も多い。
 もし、お手元にモノラル盤がたくさんあるのであれば、まずはエントリーモデルからモノラルカートリッジを試してみてはいかがだろうか。

季刊・アナログ編集部 浅田