「レコードプレーヤーの話が必要だよね」季刊・アナログ編集部/浅田 #018

   レコードのデジタルデータ化は何を使えばできる?

 時代はデジタルということもあって、レコードとはいえそのコンテンツをスマホで聴きたいというニーズがでるのは必然だ。しかし、リリース元でダウンロードコードが用意されていなければ、ダウンロード版やCD版などを買う、もしくは「自分で作る」という方法を採る必要がある。
 前回の本連載では、こうした現状とUSB端子付きアナログプレーヤーを初めとした機器がメーカーから登場していることを解説したが、今回はレコードのデジタルデータ化にあたって必須となるもうひとつのアイテム、「記録媒体」にまつわる話をしたい。

 アナログレコードをデータ化する際は、大きく二つの方法がある。まずはその中でも、定番の方法、パソコンに取り込む方法だ。

 パソコンに取り込む場合は、波形編集ソフトを使用するのが一般的だ。実はレコーディングスタジオ等にてよく活用されているProToolsに代表されるようなDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ソフトウェアもこうした波形編集ソフトに分類される。もちろんこうしたソフトウェアを使用するのも可能だが、最初の一歩としては費用面からも機能的にも少々ハードルが高いだろう。
 そんな「まずは手軽にデータ化を……」という層にお薦めなのが、Audacity(http://audacityteam.org/?lang=ja)というフリーソフトである。

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Mac/Windows向けに用意されたフリーの波形編集ソフト「Audacity」

 AudacityはMac/Windowsの両方の環境に対応しており、ボリュームメーターによる管理やボリュームのクリッピングの表示、トラックの無音部の編集、一般的なファイルフォーマットへの書き出しなど基本的な機能を抑えた波形編集ソフト。基本的には、Audacityを起動して入力デバイスをUSB端子付きのレコードプレーヤーやフォノイコライザーに設定。針を落としたら、録音ボタンをクリックという手順で簡単にレコードをデジタル化することができる。

 ただし、Audacityにはデジタルデータ化した楽曲へ、自動的にタグ情報(曲名やアーティスト名など)を負荷する機能を始めとした便利な機能はない。このあたりはフリーウェアということで割り切るべきポイントだが、もし「もっと便利にデジタル化したい」と思ったら、英AlpineSoftによるVinylStudio(29.95ドル、オンラインでのクレジットカード決済にのみ対応、URL:http://www.alpinesoft.co.uk)がお薦めだ。

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レコードのデジタル化に特化した波形編集ソフト「VinylStudio」($29.95、クレジットカード決済のみ対応)。基本言語は全て英語となるものの、タグ情報の自動編集など魅力的な機能を備える

 VinylStudioも基本的にはMac/Windows双方に用意された波形編集ソフトであることに変わりはないが、最大の特徴は名前からも分かる通り「ヴィニール」、すなわちレコードのデータ化に特化した機能を多数揃えているということだ。例えば、レコード盤に針が落ちると自動的に録音が開始される機能や、レコードのノイズを除去する機能、そして使い勝手にとって大きなメリットとなるインターネット上からの自動タグ負荷機能を備えていることだ。

 欠点としては、日本語には非対応のため全編英語での表示となることで、最初は戸惑うことが多いだろう。しかし、英語ではその手順ごとにきちんと操作方法が表示されるので、慣れてくれば非常に簡単に、しかも最小限の手間でレコードをデジタル化することができる。

 もし、パソコンを使わないでデジタル化したいという場合は、フォノイコライザーからの出力を、ライン入力を持つハンディレコーダーへ接続するという方法がある。この場合は、カセットテープでいうところのダビングと同様の操作になるため、ノイズ除去はもちろんのこと無音部の編集などもできない(厳密に言えば、ファイルフォーマットによっては、データ化した後に波形編集ソフトで編集を行うことは可能)。ただし、ダビングと同様なので特に難しい知識も必要なく、非常にシンプルな作業でデジタル化することが可能だ。

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レコードのデータ化はハンディレコーダーのライン入力を使用することでも可能。写真はタスカムのDR-05 VERSION2(¥OPEN/予想実売価格¥11,800前後)

 以上、レコードをスマホで楽しむために必要な記録媒体側の話をさせていただいたが、完璧な使い勝手を求めるならパソコンで手間をかけてデータ化、とりあえず聴ければ良いというレベルであればハンディレコーダー等を使用したダビングというように分けることができそうだ。
 また、最近ではION AudioのArchive LPのようにスマホやタブレットデバイスに直接データとして取り込むことができるモデルも登場している。いずれも決して高価なものではないので、ぜひ一度トライしてみて欲しい。

季刊・アナログ編集部 浅田