「レコードプレーヤーの話が必要だよね」季刊・アナログ編集部/浅田 #019

   日本が世界に誇る「カートリッジ」

 日本のものづくりは世界最高峰ともいわれ、メイド・イン・ジャパンは一種のブランドとして大きな価値を持っているのはご存知のとおりだ。昨今では近隣諸国にシェアを奪われがちかもしれないが、日本の技術力の高さはいまなお、他の追従を許さないものを持っている。
 このことを端的に表しているのが、レコード再生における音の入り口であり、要ともいえる存在、カートリッジだ。

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アナログオーディオの分野にて圧倒的な地位を獲得しているのが、日本のカートリッジ。写真は定番ともいえるイケダのカートリッジ「IKEDA SAI」(¥380,000/税別)

 世界各国にカートリッジメーカーは数あれど、日本のカートリッジブランドは世界のオーディオファイルにとっての憧れの存在となっている。具体的なブランド名を挙げると、ダイナベクターやフェーズメーション、イケダ、マイソニック、光悦など。また、オーディオテクニカやナガオカ、デノンといったレコード再生における定番ブランドも、確かな信頼性を実現したカートリッジとしてその人気は高い。さらに昨今では、光電型を採用したDSオーディオも大きな注目を集めている。

 なぜ、日本のカートリッジがここまでの評価を獲得しているのか。それはひとえに日本でなければ実現することが難しいレベルまで達した加工精度の高さや、職人技と呼ぶにふさわしい技術から生み出される高品位なサウンドがあるからにほかならない。

 もちろん、海外にもカートリッジブランドは存在するが、数だけみても日本ブランドが圧倒的に多いのも特徴だろう。また、価格帯をみても日本のブランドには80万円を超えるほどのラインアップが存在するなど、最も広い価格レンジを持っていることも特徴となっている。

 日本でカートリッジブランドがここまで発展した背景には色々な要因が重なっている。そのなかでも特に注目したいのが、現在のカートリッジブランドの大半がデジタル時代となって以降に登場していることだ。つまり、デジタル分野の技術が発展したからこそ、アナログ再生的な部分で求められる所々の精度が高められたといっていい。また、CD時代になったからこそ、あえて「アナログを極めたい」という想いから立ち上がったブランドも日本には多かった。

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いまのカートリッジブランドは、デジタル全盛期となって以降に登場したブランドがほとんど。写真の「PP-1000」(¥320,000/税別)を開発するフェーズメーションも、アナログ再生への熱意からスタートしたブランドとして知られている

 つまるところ、レコードから取り出される音に関していえば、レコード全盛期のサウンドと、現在最先端のカートリッジを用いて聴く音は、全く異なる次元のものとなっている。日本のカートリッジは、そんな世界のオーディオファイルをワクワクさせてくれる存在として確固たる地位を築いているのだ。

季刊・アナログ編集部 浅田