「レコードプレーヤーの話が必要だよね」季刊・アナログ編集部/浅田 #020

   レコードが反った。その時どうする!?

 レコードは手間がかかる。
 針を落とすときの緊張感や片面が終わった時に裏返す作業、しまう時にホコリを払うことや湿気に気を使ってしまうことなど、デジタル時代の昨今ではありえないくらいの手間がかかる。
 これがレコードの良さでもあるし、音楽鑑賞を特別な時間としてくれることにも繋がっている。

 ただし、どんなに気をつけて扱っているつもりでも、完璧ということはないというのが人間。
特にレコードでは、置いておくだけで反りが発生する。保管に気を使う以前の問題で、新品を買ってきた段階ですでに反っているということもある。

 一見プレーヤーには全く関係ないように見えるかもしれないが、実はこれがレコード再生にとって大きな問題を引き起こす場合がある。盤の溝に刻まれた情報をカートリッジでピックアップするというレコードのメカニズムを考えれば、盤そのもののコンディションが音に与える影響の大きさは想像しやすいだろう。再生音が安定しなくなることはもちろんのこと、ひどい場合は針にダメージを与えてしまったり、針飛びを起こすこともある。

 また、レコード再生経験者のなかには、再生中にウーファーが過剰に振幅してしまいハラハラした、という経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれないが、それもレコードの反りに起因するものだ。

 このレコードの反りを多少なりとも修正することができれば、そうしたリスクもグッと少なくなる。
 今回は、この反りをある程度修正する方法をご紹介したい。

 まずは、レコードスタビライザーとターンテーブルシートを併用する方法だ。
 ターンテーブルシートの中には、センタースピンドルに向かってすり鉢上のテーパー加工が施されているモデルがあり、それとレコードスタビライザーを使用すればある程度の反りを軽減することができる。
 代表的なモデルとしてはオヤイデから発売されているブチルゴム製の「BR-12」(¥6,000/税別)。この他には、よりシビアに振動対策などを施した金属系の高級モデルであるG.T.サウンドの「GTT-070」(¥47,250/税込)のようなモデルや、あえてレコードを「浮かす」という発想を盛り込んだViV ラボラトリーの「TS-SUS2」(¥25,000/税別)といった個性派モデルもある。

 レコードスタビライザーやターンテーブルシートは、反りの修正以前に音質的なメリットがある場合も多いので、積極的に選びたいアクセサリーだ。ただし、重量のあるターンテーブルシートやレコードスタビライザーは、レコードプレーヤーによっては使用できないものもあるので注意したい。

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OYAIDE「BR-12」(¥6,000/税別)。中心へ向かってテーパー加工が施されており、スタビライザーと併用すればレコードの反りをある程度修正して再生することができる

 もうひとつは、もっと根本的に盤そのものを修正するという方法だ。インターネットを見ているとガラス板に挟む方法や熱湯を使うなどかなり荒っぽい方法を目にすることがあるが、これらはあくまで最終手段。場合によってはレコードを破損しかねない方法なので、あまり真似することはお薦めできない。

 もっと安全に反りを修正するためのアイテムとしてお薦めなのが、一部のレコードコレクターの間で爆発的な注目を集めたオーブのディスクフラッターというアイテムだ。

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ORBから登場し、一部のレコードコレクターの間で驚異的な話題を集めた「DF-01i」

 レコード盤は塩化ヴィニールでできているため、ある一定の熱をかけると変形する特質を持っている。ディスクフラッターはこの原理に着目した製品で、レコードの処理に最適な熱を半導体フィルムフィルターによって均一に発生させて反りを治すというものだ。
 ちなみに、ディスクフラッターではレコードの外周部をプレスして反りを修正する仕組みとなっているので、音に影響を与えない構造となっていることも注目を集めた理由となっている。

 ラインアップとしては、レギュラーウェイトの盤に対応する「DF-01i」(¥85,000/税別)と180g重量盤にも対応する高性能版「DF-22」(¥220,000/税別)を用意。いずれも決して安くはないものの、本機を使用して反りを修正するサービスを行っているレコードショップもあるので、一度試してみることも十分に可能だ。ディスクフラッターは、波打ってしまったレコード等も修正することができるなど、その価格に見合った性能を持っている。

 レコードの反りを修正する際に注意したいのは、あまり神経質になり過ぎないこと。反りがあまりにもひどいレコードを、元通りのフラットな状態に戻すことは極めて難しい。反りを治そうとして盤を傷めてしまったら元も子もない。レコードを購入する際にしっかりと検盤をすることや、手遅れになる前にレコードの保管方法にできる限り気を使うことが大切なことには変わりはないと最後に付け足しておこう。

季刊・アナログ編集部 浅田