「レコードプレーヤーの話が必要だよね」季刊・アナログ編集部/浅田 #021

   冬のレコード鑑賞は、「聴く前よりも美しく!」

 10月ももう半ばである。
 気がつけば、この企画も随分間が開いてしまった……。
 あんなに暑かった夏はあっという間に過ぎ去り、いまや朝晩は「寒い」とすら言ってしまいそうな季節である。

「寒い季節」といえば、そろそろレコードにとって大敵の季節がやってくる。
 静電気だ。
 そういえば、ついこの間「湿気との戦い」とこの場で申し上げた気がするのであるが、本当に時というのは早いものである。慌ただしくすら思えてしまうものの、レコードのケアのポイントは一年を通して山程あるのだ。

 さて、「静電気」といえば、夏場の大敵「湿気」とは相反するものだ。
 つまり、夏場のレコード保存は通気性に気をつけてカビを以下に防ぐかがカギとなるが、冬場の場合は、いかにこの静電気を抑えるか、ということがポイントになる。

 レコードの盤面をカートリッジの針先がトレースする際、かならず起こるのが静電気だ。
 おそらく、本項をご覧になっている方はピンと来ると思うであろう例え方をすると、下敷きをこすった時にでる静電気。あれのよりエスカレートしたバージョンと思っていただければよい。
 つまり、聴く前よりも聴いたあとの方が、静電気は多く発生する。

 静電気はものを吸い寄せる性質がある。ブラウン管テレビを思い浮かべていただければ分かりやすいかもしれないが、どの家庭でもテレビはたいていの場合ホコリまみれだったはずだ。あれはテレビの画面に帯電することによるものだが、それと同じことがレコードでも起きるのである。
 静電気を放置しておくと当然ホコリを吸い寄せ、そのまま長期間保存するとそうした汚れが変質し、付着する。一説によると、これがレコードの「プチプチ」というノイズの原因のひとつとも言われている。

 どうしても音楽ファンというものは、聴く前に大事にレコードブラシ等でホコリを払い、聴き終わったらすぐ次のレコードを聴くべく、そのまま仕舞おうとする。しかし、本当に大切なのは、聴く前ではない。聴いたあとにこそ、静電気対策は行うべきなのだ。

 では具体的にお薦めの製品には何があるのか。

 個人的に愛用しているのは、レコード王国イギリスのブランド、ミルティによる「Super Exstatic Disc Cleaner」(¥7,500/税別)。ホコリの吸着性に優れたベルベットの両側に、静電気除去効果のあるカーボンファイバーブラシを取り付けたものだ。

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MILTY「Super Exstatic Disc Cleaner」(¥7,500/税別)
●取り扱い:(株)ナスペック

 もちろん他社にも効果的なレコードクリーニングブラシはたくさん出ているが、ひとまずこれからの季節は、静電気除去効果を謳う製品を選ぶのがベストだろう。

 それともう一つ、「聴き終わったあとにいちいち静電気対策なんてやってられない」というせっかちな方には、再生中に静電気を除去することをお薦めしたい。

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SFC「SK-FILTER」(¥27,000/税別)
●取り扱い:(株)ユキム

 SFCというブランドから登場している「SK-FILTER」(¥27,000/税別)は、レコードをのせるターンテーブルとギリギリ触れるか触れないかの高さに調整して使用する旗のようなかたちをした静電気除去グッズ。つまり、針がトレースした直後にすぐさま静電気を除去するのだ。しかも素材は同社の特許素材となるサンダーロンを使用。ICの製造現場など特に静電気を厳しく管理する現場でも採用される信頼性の高い素材である。

 いずれにしても、冬場のレコード保存のポイントは静電気だ。重要なのことなのでもう一度申し上げておくと、「聴く前よりも美しく!」なのである。

季刊・アナログ編集部 浅田