「レコードプレーヤーの話が必要だよね」季刊・アナログ編集部/浅田 #022

   最新レコードプレーヤーはこんなにすごい!

 おそらく、世の中の大半の方が、レコードプレーヤーというと「ただレコード盤が回っているだけ」と考えている方が多いだろう。
 実際問題、レコードが回転して、カートリッジがトレースするだけで音は鳴る。

 ただし、ここから先がレコード再生にまつわる奥の深いところで、それだけでは良い音は出ない。
 良い音を出すとなると一般的には回路や素材などの点に意識が向きがちだが、オーディオの世界、とりわけレコード再生の世界では「振動の抑制」が大きくものを言う。
 つまり、本稿でも度々述べている通りレコード再生では物理的な対策がそのサウンドを大きく向上させることになり、高級なレコードプレーヤーになればなるほど擬似的に「レコード盤と針先のみが存在する世界を実現する」という考え方に集約されていくといってもよい。

01_record-vibe

接地面や筐体からの振動がレコードからカートリッジへと伝わり、そのままノイズとして増幅してしまう。上図はレコード再生における振動対策のイメージ。上部へ行くほど不要な振動はキャンセルされる。

 この理想を実現するためのアプローチは実にさまざまで、極限までリジッドに作り込んで共振を抑える考え方を採るもの、外部の振動から切り離す考え方を採用したもの、そしてこれらをハイブリッドさせたものと大きく3タイプに分けることができる。

 こうしたレコード再生における理想の追求は、なにもいまに始まったことではない。しかし、現在のレコード再生における興味深い点は、CD登場以降のデジタル全盛期にあっても日々技術革新が行われていたこと。その結果、コード再生全盛期では決して実現できなかったサウンドがいま実現されているのだ。
 ここに、いまレコード再生を追求する大きな意味がある。

 具体例を見てみよう。
 写真は現在、海外のアナログオーディオファンからも絶大な注目を集める日本のブランド、テクダスの最上位モデル「Air Force One」。これは共振を発生させないことと、共振から切り離すことを同時に実現したモデルだ。

02_AirForceOne

世界のアナログオーディオファンから賞賛を浴びた、日本のブランド、テクダスのレコードプレーヤー「Air Force One」(¥7,200,000/税別)。超高額だが、そこにはきちんとした理由がある

 Air Force Oneの最大の特徴は、名前のとおり「空気の力」を活用してレコード再生を行うレコードプレーヤー。写真の本体の他に電源部、そしてエアポンプを行うためのユニットといった3つの筐体で構成される大型レコードプレーヤーだ。

 実際に空気の力が使われるのは、レコード盤をバキュームで吸着させるプラッター部、床等の振動から徹底してレコード盤を切り離すためエアーインシュレーション、軸受け部に設けられたエアーサスペンションの3つの部分。レコードとプラッターを完全に一体化させてロスをなくしたうえで、振動伝わるポイントを空気の力で切り離すという構造を採用したことに加え、ボディも極限まで振動を抑えこむ素材とするなど、「レコード盤と針先のみで信号をトレースする」という理想を徹底的に突き詰めた内容となっている。

 実はこうした空気の力を活用するレコードプレーヤーはレコード全盛期から登場していたが、当時といまではこのエアーフローティングやバキュームにおける技術が大きく進化を見せている。動作音はもちろんのこと、外部ユニットの小型化など、オーディオとして求められる高い性能を実現しながらセッティング面でも問題となるサイズもコンパクトなものとすることを可能としたのだ。

 今回は具体例として、超弩級モデルとなるAir Force Oneを取り上げたが、これ以外の高級アナログプレーヤーでも同様に現代だからこその技術力が満載されている。一度店頭等でその仕様を見れば、「聴いてみたい!」と思っていただけるだろう。

季刊・アナログ編集部 浅田