「レコードプレーヤーの話が必要だよね」季刊・アナログ編集部/浅田 #024

   世界最大級のエレクトロニクスショウでの話

 毎年、1月初旬にアメリカ・ラスベガスで開催されるInternational CESをご存知の方も多いかもしれない。
 世界最大の規模を誇るエレクトロニクスショウとして、オーディオや映像関連はもちろんのこと、IT関連にいたるまでありとあらゆる新製品/新技術が発表される展示会だ。

 そんなCESの会場内でのオーディオメーカーのブースでは、ここ数年、ハイレゾをはじめとしたデジタルに主眼をおいた展示が多かった。しかし、今年はその様相が少々異なっていた。明らかに、レコードプレーヤーへの関心が高まっていたのである。

 レコード好きの方であればご存じのとおり、アメリカでのレコードブームは世界を見てもトップクラスの盛り上がりだ。そう考えれば、今回レコードプレーヤーに注目が集まったことはごくごく自然な流れとも言えるかもしれないが、今年はこの盛り上がりを決定付けるほどの大きな発表があったことも見逃すことはできない。

 その中でも特に大きなインパクトを与えたのが、テクニクス、ソニーといった大手メーカーから発表されたアナログプレーヤーだ。
 ここ数年のアナログ市場といえば、どちらかといえば中規模~ガレージメーカーが中心の市場という印象だったが、この構図に大きな変化が訪れているといっても過言ではないかもしれない。
ただし、テクニクスとソニー、この両者のアプローチは対照的とも言えるものだ。

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テクニクス待望のレコードプレーヤーとして、5年もの歳月を経て発表されたSL-1200G

 まずは2010年の生産終了以降、実に、5年の歳月を超えて復活したテクニクスのSL-1200シリーズの最新モデルとなるSL-1200G。外観は往年のSL-1200そのものとしながらも、プラッターやトーンアーム、ボディ、インシュレーターは全て新規に開発。つまり「全く新しいサウンドを目指したSL-1200」となっているのが特徴で、音にこだわるオーディオファイルたちの要求も徹底的に見据えたアナログプレーヤーとなっている。価格も4000ドル程度とこれまでのSL-1200よりも高額となっているが、それもうなずける本格派プレーヤーを作り上げた印象だ。

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「ハイレゾロゴ取得」のレコードプレーヤーとしても話題を呼んだソニーのPS-HX500

 その一方のソニーだ。ソニーは一昨年から「ハイレゾ」を軸とした製品展開を行ってきたが、今回のレコードプレーヤー「PS-HX500」にもハイレゾロゴをつけ、大きな話題となった。レコードプレーヤーにもかかわらずハイレゾロゴがつけられている理由は、USB出力の装備にある。パソコンと組み合わせることで、レコードの音源をハイレゾのスペックで、簡単にデジタルデータ化することができるのだ。
 もちろん、こうした提案を盛り込んだレコードプレーヤーはいままで数多く登場していたが、ソニーの場合は専用アプリケーションを用意し、誰でも「簡単」にレコードをデータ化できる仕組みに挑んでいることに注目したい。

 レコードはものとしての付加価値は高いもののポータビリティはほとんどない。一方でデジタル音源は、ものとしての実態はないもののポータビリティは極めて高く、いつでもどこでも好きな曲を再生することができる。
 この両者の短所を補って、より魅力的なレコードライフを見据えたことがPS-HX500の大きな特徴となっている。価格はまだ未定としながらも、おそらく一般的な音楽ファンにとっても現実的な価格となる見込みだ。
 レコードにとって中古市場は大きいものであるため、PS-HX500の提案は「レコードとデジタルオーディオ」の橋渡しをする大きな役割を担うことになるだろう。

 今年のCESにおいて、オーディオ関連の展示ではこの2つのレコードプレーヤーが象徴的な存在になっていた。以前、本稿にてドイツでの様子もレポートしたが、レコードブームは間違いなく、世界的な規模で盛り上がりをみせてきている。
今年は、レコード盤だけではなく、レコードプレーヤーにとっても熱い一年となりそうだ。

季刊・アナログ編集部 浅田